比企点描 >
児沢(ちごさわ)
高坂丘陵地の西側、関越自動車道 高坂サービスエリア近くで越辺川に 流入する2.5Km程の流程を持つ 谷川、児沢がある。流路は源流から すべてコンクリートで護岸されている。 護岸工事は1964年東京オリンピック の頃で、また、この沢の水源はこの 比企丘陵の山襞の谷間に湧出する 沼池からの水である。 いまでは水源の湧水池も管理され この流水は涸れることがない。 かつてのこの地帯は、雨が続けば 山襞の沢には突然の大水があふれ、 また、晴天が続けば水が涸れ、 流域の数軒の集落はその都度悩まされなければならなかった。 | |
4月中旬の児沢 | |
この沢に沿った山道は、高坂 丘陵の住民の朝のウォーキ ングコースとしてこれからの 季節が人気。爽やかな新緑 が誘う。春のこの時期は 山鳩をはじめ様々な野鳥の 鳴き声であふれている。 児沢は東側が埼玉県立こども 動物自然公園、西側に物見山 に続く尾根が走り、深い森林 に囲まれている。降雨は地表 からしみこみ、やがて山襞の 低地にしみ出して来る。 この一帯湧水池が多い。 これらの湧水を水源に持つ 児沢は流程の割には水量が ある。 |
物見山公園の水路 100m程上部にある小さな湧水池 から流下し調整池に流入。 |
近く物見山公園にある調整池 (地図1) には埼玉県こども動物自然公園、平和資料館がある。 この調整池の水は、導水樋により流下し一部は動物園内を、また地図2からの水と合流しAの洗堰に集まる。 |
地図2の調整池 石坂ゴルフ場の取り付け道路にかかる石澤橋の下にある湧水池。この堰堤で水量を調整しながら放水している。 橋下20m以上。鴨たちが遊んでいる。堰堤に立つと恐怖がこみ上げる |
地図2の調整池の放水口 昔は雨が降り沼があふれると児沢には水があふれ、日照りが続くと水が涸れる。今は調整池で流水量が調整される。 萌え始めた木々の緑がまばゆい。 少ない放水が水面に写る。 |
林の中の導水樋 コンクリートパネルで作られ、他の水源からの水と合流する。 |
林の中の導水樋と昔の水流跡 激しい水流が土をえぐった痕跡。この時期はまだ下生えもなくここまで入れる。もう少し暖かくなると蛇が活動する。危険なので入るのは難しい。 |
枯れ木に生えるキノコ | 咲き始めたツツジが新緑の中に映える。 |
調整池3 堰堤の上から放水路20m高 | 調整池3 堰堤の上から水面 |
調整池3 枯葉が散らばる水面 |
調整池3からの導水樋 | 水路の近くにある湿地、歩くと足を取られる |
調整池4からの水路 児沢流入近くの畑地の外れ。竹林の中を導水樋が走っている。 |
||
調整池4からの水路 この付近は他と違いかなり古い。水路の壁は石積み、底には丸石が蛇籠で敷き詰められている。 周囲は密生した笹藪と篠竹 |
||
調整池4 石坂ゴルフ場の取り付け道路から見える調整池 元は湧水沼だったのだろうか。 |
||
調整池4 湧水池の向こうに石坂ゴルフ場が見える。 |
||
調整池4 堰堤の上から水面 |
小さな洗堰(あらいぜき)上のかわいいプール |
||
児沢の上流Aに設けられた小さな洗堰(あらいぜき) 1、2、3の調整池からの流水が樋で集められている。この児沢には、下流から数えて5つの沢が流入していて、かつては5の沢として、ここの集落の人は呼んでいたそうである。 |
児沢の流れに沿って小さな簡易舗装の道が走って いる。やがて「こども自然動物公園」の入り口に続いて いく。 「高坂地区の伝説と夜話」によれば、 昔からこの右上にある台地になっている場所に、児沢の3軒屋と言われた集落がある。この近くに この児沢によどんだ淵があり、児ヶ淵と呼ばれていた そうだ。昔、いつの時代か巌殿山正法寺の稚児が 悲しみの果てこの淵に身を投げてしまった。 このことから、いつからか児沢と呼ばれるように なったと言われている。 この右手の台地にかつて正法寺の稚児たちが 住んでという説もある。また、ここに釈迦堂跡といわ れている場所もあり、あるとき山からの大出水で お堂が流され、その土台石らしき切石が今もある という。この大水で本尊の釈迦尊像も流されて しまった。下流の田木集落で拾い上げられ石坂村 の休山寺に納められたと伝えられる。 今も河口部の堤防の手前の広い草地に2体の 石仏がぽつりと建っている。 | |
調整池 4から児沢への水路の流入 |
ここがかつての児ヶ淵?? |
この集落の数少ない平地、 昔はこの集落の米の生産のため大切に 耕されていた。 今は「児沢探検隊」の子供たちが 耕し実習として使っている。 水が張られると蛙たちの賑やかな 声が聞かれる。 子供たちはここで有意義な時間を過ごせる。 | |
この新緑と秋の紅葉の時期がベストシーズン |
|
児沢には6月から7月にかけてのシーズンには 「ホタル」が舞う。 生活用水の流入が少ないので、餌となる 「川蜷」が生育する。 コンクリートの河床は様々な工夫が施され、 ホタルの生息地として大切に守られている。 | |
児沢の落葉樹林 燃える新緑の香りがすがすがしい。
|
|
越辺川へ合流地点傍の空き地の石仏 広い空き地に1m程の高さの2体の石仏がひっそりとたたずんでいる。 |
|
空き地の石仏 大水で流された釈迦尊像ということで、こんな場所に置くより、いっそ巌殿山の釈迦堂にお納めしたらとお移ししたところ、このお釈迦様が夜な夜な夢枕にお立ちになり、前の所へ帰りたいと言われるので、再びこの場所にお移ししたと伝えられている。(高坂地区の伝説と夜話より) |
越辺川へ合流する児沢 (地図5地点) 関越自動車道の下を暗渠で抜けた清澄な児沢の流れはやがて越辺川に合流する。 |
|